コラム

【初心者向け】ハッテン公園とは?ゲイの出会いの場所として歴史と文化

ハッテン公園という言葉の意味

「ハッテン公園」とは、日本の都市部を中心に、夜間や人目の少ない時間帯に男性同士の出会いの場として知られてきた公園の俗称です。

「ハッテン」は、ゲイカルチャーの中で「性的な出会い」や「関係の進展」を意味する隠語であり、「ハッテン場」という言葉の派生形として「ハッテン公園」は一般に広く使われるようになりました。

重要なのは、「ハッテン公園」は特定の制度上の名称ではなく、非公式・自然発生的にそうした用途で知られるようになった公共空間であるという点です。

一般の利用者も日常的に多く、あくまで公共の場であるため、利用する側のマナーや法律への配慮が極めて重要になります。

ハッテン公園の起源と背景

戦後の日本と都市の匿名性

戦後の高度経済成長と都市化により、多くの若者が地方から東京・大阪などの大都市に流入しました。

その結果、家族の目が届かない「都市の匿名性」が形成され、性の多様性やジェンダーの自由に目覚めた人々が一定の自由を得るようになりました。

とはいえ、長らく同性愛は社会的に差別や偏見の対象であり、日常生活でオープンに出会う場はほとんど存在しませんでした。

そうした中で、公園・海岸・山道など人目の少ない空間がゲイ男性たちの出会いの場として自然発生的に形成されていったのです。

初期のハッテン場文化と公園の役割

1970〜1980年代には、新宿二丁目のようなゲイタウンが徐々に形成されていきましたが、誰もがバーやサウナに通えるわけではありません。

経済的理由や居住地域の制約などにより、公園や河川敷が「無料の、かつ匿名で利用できる出会いの場」として根付きました。

ハッテン公園の特徴と使われ方

利用時間帯

多くのハッテン公園では、日没以降〜深夜、明け方にかけて利用者が増える傾向があります。

日中は普通の市民や観光客が利用する空間であるため、暗くなり人通りが減ってからが「出会いの時間」となります。

行動パターン

利用者は1人で公園内を歩きながら、目線や距離感、立ち止まり方、ベンチの座り方など、非常に間接的なコミュニケーションを通じて「出会いのサイン」を送り合います。

声をかけたり、軽くすれ違ったりすることで「関心の有無」を確かめるスタイルが一般的です。

年齢層・客層

場所によって異なりますが、30代〜50代の男性が多い傾向にあります。

学生や若者も一定数いますが、夜間の外出や周囲の目を気にする人が多いため、比較的落ち着いた世代の方が目立ちます。

また、女装をして訪れる人も一定数存在し、エリアによっては「女装系に優しい」とされる場所もあります。

全国にある有名なハッテン公園

隅田公園(東京都墨田区)

隅田川沿いに位置し、スカイツリーの見えるロケーションでも有名。

特に向島側は長年ゲイコミュニティの出会いの場として知られており、30代〜40代の男性が中心に集まります。

現在では出会い目的の人は減ってきていますが、SNS等を通じて集合するケースも。

東京で隅田公園の他にゲイが集まるハッテン公園は下記にまとめています。

扇町公園(大阪府)

大阪の有名ハッテン公園。

JR天満駅の近くという便利な立地にあり、地域密着型の利用者が多いとされます。

夜間には静かに散策する人が多く、声掛け文化よりも、目線や動きで探り合う傾向が強いです。

利用する際の注意点とマナー

公共の場であるという前提

ハッテン公園はあくまでも「公共空間」です。

近隣住民、通行人、清掃スタッフ、警察官など、あらゆる人が通行・利用します。

そのため、

  • 性的行為の現場化は違法です(公然わいせつ罪など)
  • ゴミの放置、騒音行為などは住民の迷惑になります
  • 子どもや女性、一般利用者との接触には最大限の配慮を

といった点を、最低限のマナーとして守る必要があります。

暗黙のルールを理解する

多くのハッテン公園では、「経験者」が一定の作法を共有しています。

例としては:

  • 初心者は静かに様子を観察するところから
  • 強引な声掛け、触れ方はNG
  • 相手の意志を最優先に
  • 拒否されたらすぐに引く

これらは、明文化されたルールではなくとも、「空気を読む」ことが最も重要とされています。

現代におけるハッテン公園の存在意義

出会いの手段の変化

スマートフォンアプリ(例:9mon、Jack’d、Tinder)やSNSによって、ゲイの出会いは格段に便利になりました。

そのため、物理的に公園で出会う必要性は以前よりも下がっており、「ハッテン公園は過去の文化」とされることもあります。

それでも「公園」に来る理由

にもかかわらず、ハッテン公園に通い続ける人々がいます。

その背景には、

  • スマホアプリを使いこなせない高年齢層
  • 金銭的理由でハッテン場に通えない人
  • 匿名での出会いを求める人
  • 外での偶然の出会いを好む人

といった様々な動機があります。

また、公共の場所でハッテンすると興奮するゲイも少なくないようです。

トラブルとリスク、そして今後

トラブルの事例

  • 警察の取り締まり(公然わいせつ)
  • 窃盗やスマホの盗撮被害
  • 揉め事・暴力・脅迫行為
  • いわゆる「ホモ狩り」

このようなトラブルが実際に報告されており、特に初心者は「深夜一人で行動しない」「人通りのない場所に行かない」といった最低限の防衛意識を持つことが大切です。

今後のハッテン公園文化

都市開発や監視カメラの増設、SNSの普及などにより、ハッテン公園の数は減少しています。

しかしそれでも、匿名性や偶発性を求める人たちにとっては、都市の「逃げ場」としての役割が残っていることも事実です。

現代のゲイコミュニティの中でも、「ハッテン文化」は単なる性的な側面だけではなく、都市の歴史、マイノリティの生き方、公共空間の意味などを問い直す契機になっています。

尊重と共存のために

ハッテン公園という存在は、社会のマージナルな領域に生きてきた人々の知恵と苦労、そして工夫の積み重ねによって形成されてきた文化です。

その文化に触れる際には、単なる興味本位ではなく、背景にある現実や人々の思いを知る姿勢が求められます。

ハッテン公園を訪れる際には、「公共空間を共有する一人としてのマナーと配慮」を常に持ち、自分の行動が誰かの不快や不安を生まないよう意識することが最も重要です。

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