コラム

【閉館の理由とは】大阪・ゲイサウナ「北欧館」突然の閉店、その裏にあった真相とは?

2023年3月31日、大阪・堂山町のゲイ専用サウナホテル「北欧館」と、その姉妹店である新世界の「ビジネスインロイヤル」が、事前告知もなく突然閉館しました。

このニュースは、SNSを中心にゲイコミュニティ内で大きな衝撃をもって受け止められました。

特に「北欧館」は、40年以上にわたり大阪のゲイカルチャーの中心的存在として親しまれてきた施設であり、その閉館は多くの人々にとって「居場所の喪失」を意味しました。


1. 北欧館とは何だったのか?

「北欧館」は、梅田・堂山エリアに位置し、24時間営業の大型サウナ施設として知られていました。

地下の「ブルーゾーン」は20〜30代向けのスペースで、暗室や二段ベッド、シャワー、喫煙所などが完備されており、若年層の利用者に人気がありました。

中階層は中年層向け、屋上の「スカイゾーン」は開放的な空間として、多様な年齢層のニーズに応える構造となっていました。

また、施設内では焼きそばなどの軽食も提供され、宿泊も可能であったため、終電を逃した際の宿泊先としても利用されていました。

このように、北欧館は単なる発展場ではなく、ゲイコミュニティにとっての「セカンドハウス」として、日常的な居場所の一つとなっていました。


2. 突然の閉館とその衝撃

閉館の発表は、2023年3月31日当日に施設前に掲示された張り紙によって行われました。

事前の告知や公式な発表はなく、利用者やコミュニティにとっては寝耳に水の出来事でした。

SNS上では「エイプリルフールの冗談ではないか」との声も上がるほど、信じがたいニュースとして受け止められました。

この突然の閉館は、北欧館が単なる施設以上の存在であったことを浮き彫りにしました。

多くの人々が、日常の一部として、または特別な思い出の場所として北欧館を捉えており、その喪失感は計り知れないものでした。


3. 閉館の背景にある要因

経営環境の変化

北欧館の閉館理由について、公式な発表はありませんが、複数の要因が重なった結果と考えられます。

まず、コロナ禍によるインバウンド需要の消失と国内利用者の減少が挙げられます。

大阪は関西国際空港を擁し、アジアからのゲイ観光客が多く訪れていましたが、パンデミックによりその流れが途絶えました。

また、24時間営業の大型施設である北欧館は、光熱費や人件費などの固定費が高額であり、エネルギー価格の高騰も経営を圧迫したと考えられます。

これらの要因が重なり、経営の継続が困難になった可能性があります。

事業継承の問題

北欧館の経営者が高齢で亡くなった事が、閉館の一因とされています。

一部の情報によれば、経営者の親族が事業内容に否定的であったため、事業継承が行われず、閉館に至ったとの噂もあります。

これは、ゲイ向け施設が家族経営である場合、事業継承が難しいという構造的な問題を示しています。


4. 北欧館の閉館がもたらす影響

ゲイコミュニティの居場所の喪失

北欧館の閉館は、ゲイコミュニティにとって大きな損失です。

特に、アプリやSNSを通じた出会いが主流となる中で、リアルな交流の場としての価値が再認識されていました。

また、年齢や外見に関係なく、多様な人々が集うことができる空間として、北欧館は貴重な存在でした。

他施設への影響と再編の可能性

北欧館の閉館により、他のゲイ向け施設への利用者の流入が起きています。

堂山なら北欧館の客は「大吉寮」に、新世界ならビジネスインロイヤルの客は「ビジネスイン英都」に流れているようです。

そして、閉館から約半年後、ある一人の人物が「北欧館」のアイデンティティを受け継ぐ新たな施設の構想を発表しました。

詳しくは別の記事でまとめているので、そちらを参考にして下さい。


5. 今後の展望と課題

北欧館の閉館は、ゲイコミュニティの居場所がいかに脆弱であるかを示しています。

今後、ゲイコミュニティが持続可能な形でリアルな交流の場を維持・発展させるためには、以下のような取り組みが求められます。

  • 多様な世代が参加できる施設の運営:若年層から高齢者まで、幅広い世代が安心して利用できる空間の提供。
  • 経営の持続可能性の確保:光熱費や人件費の高騰に対応するための経営戦略の見直し。
  • 事業継承の仕組みづくり:経営者の高齢化に対応し、事業継承を円滑に行うための体制整備。
  • コミュニティによる支援:クラウドファンディングやボランティア活動を通じた、施設運営への支援。

これらの取り組みを通じて、ゲイコミュニティの居場所を守り、次世代へと継承していくことが求められます。


6. 結論

北欧館の突然の閉館は、ゲイコミュニティにとって大きな衝撃であり、同時にリアルな交流の場の重要性を再認識させる出来事となりました。

今後、コミュニティが持続可能な形で居場所を維持・発展させるためには、経営の持続可能性、事業継承、コミュニティによる支援など、多角的な取り組みが必要です。

北欧館の歴史とその意義を忘れずに、次なるステップへと進むことが、ゲイコミュニティの未来を築く鍵となるでしょう。

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